キリン電波書簡

一方通行の手紙です

四十三通目

 前略

 

 明けたと思ったらもう1月が終わろうとしていますね。2023年初めてのお手紙です。2022年に取り残されてるような人はいないことを祈ります。

 

 昨年は新年一発目に「正月が嫌い」というお手紙を書いたのでした。今も大して変わっていませんが、一つだけ和解したものがあります。餅です。もち米を蒸してついて成形した、あの餅です。

 餅との対立ってなんだよ と思われるかもしれませんが、私は10代後半くらいから餅のことがあまり好きではありませんでした。何が好きではないかというと、焼いた餅のあのカリっとしたところが腹立たしいのです。ただでさえ口の中へ熱さのダメージを与えているというのに、更に固さでもダメージを与えるというのはいかがなものかと度々思っていました。あとちょっと目を離すとトースターの中で中身がべろっとこぼれて網にくっつくとか。そういった様々な要素とおいしさが釣り合っていないのでは?

 元旦は数少ない炭水化物なので仕方なく雑煮に餅を1個だけ入れて食べていましたが、義務感のようなものです。確かに腹持ちはいいですしね。あと「餅は腹持ちがいいぞ、餅だけに」というクソくだらないギャグを言ってくる人には殺意すらおぼえかねません。そのくらいは嫌っていました。

 

 昨年はまったものの一覧の中に白玉があったと思うのですが、あれももち粉ですよね。これだけおいしいなら餅も案外いけるのでは? と思ったのがきっかけです。あと最近って横にスリットが入っていて結構きれいに焼けるんですね。

 温かいぜんざいに焼いた餅を入れたらめっぽうおいしかったです。そこから更に発展して今度は逆に焼いた大福にもハマりました。好んで食べられる物が増えるというのは選択肢が増えるってことです。増えることは良いことだと思いませんか。思いましたね?

 ちなみに、年が明けてから体重計には一度も乗っていません。増えるのは良いことだと、先程同意いただけましたよね?

 

 それではまたチョコレートのあふれる時季くらいに。どうぞ健やかにお過ごしください。

 

 

 草々