キリン電波書簡

一方通行の手紙です

二十四通目

前略

 暑い日々が続きますがいかがお過ごしでしょうか。世情は何かと芳しくなく、堪えることばかりですね。

 さて、四ヶ月弱伸ばした私の癖毛もそろそろ耐えられなくなり美容院に行ってきました。お察しの通り「髪切ったよ自撮り」をSNSにあげましたが、何か文句があるのでしょうか。「どうでもいい」とか「ちやほやされたいだけ」とか批判されがちな行為ですが、私は特に問題ないと思います。何故なら散髪後というのは一番のピークだからです。プロがスタイリングしてくれているんですよ。一番良いコンディションじゃないですか。これから右肩下がりになっていくと分かっているのであれば、今この瞬間を写真におさめずしてどうするというのですか。それを他の人にも共有しておけば自分の一番良いコンディションのイメージを他人に植え付けられるわけです。どんどん上げていきましょうよ右肩下がり直前の画像。

 

 自撮りの話はさておき、私は美容院が好きです。意外でしょう? お前みたいな陰キャコミュ障のクソオタクホモのくせに、みたいなことをお思いでしょう? ひどくない?

 私、美容院でほとんど話しかけられないんです。陰キャコミュ障のクソオタクホモだって事がバレてるからかもしれませんが、多分目を瞑ってるからだと思うんですよね。そもそも私裸眼視力0.1ない乱視なので、メガネを外すと何も見えないんです。だから必然的に雑誌を読むという選択肢はなく、なおかつ髪が目に入るのが嫌で、すぐ目を瞑ることにしているんです。そうするともう美容師に「あこれ完全にコミュニケーション取る気ないわ」って伝わります。ややこしいことを抜きにすると本当に良い所ですよ。櫛が地肌を撫でる感触、鋏の軽快な音、シャンプーの香り。毎日でも通いたい。
 あと必然的にじっとしていなければいけないので、黙考がはかどります。なるべくめんどくさいことは考えないようにしていますが、何かを考えてそこからまた別の何かに思考の橋渡しをしていくというのが楽しいですね。普段だと音楽を聞いちゃったり他のノイズが入ってくるんですがそういうものがなく、かつ快適な状況なので意外と良いことを思いついたりします。例えば今回みたいに手紙を書こうとかね。

 

 散髪のことで他にも書きたいことがあったんですが、まとまりがないのでこの辺で。

 

草々