キリン電波書簡

一方通行の手紙です

三十一通目

前略

 桜の季節は過ぎてしまいましたが、いかがお過ごしでしょうか。最近は蒸し暑い日が続き、夏と紛うようでしたね。今日はほんの少し落ち着いて過ごしやすい陽気でした。秋めいてきたものです。

 

 駆け足のように季節が過ぎ去ってしまった気もしますが、春というのはいつも環境の変化を伴って気もそぞろになりがちです。私は変化というものに非常に弱いので、順応するまでに時間がかかります。最近は変化も緩やかですが、着々と足音は迫っているのです。全部放り投げて逃げ出したいといつも思っていました。春なんて嫌いだと。

 

 今年は桜を見に行きました。3月中旬は残念ながらまだ一輪二輪くらいしか咲いていませんでしたが、下旬には満開に。年甲斐もなくはしゃいでしまうくらいの美しさでした。川沿いにずっと並んで咲いていたので、ただただ歩き続けましたが全く疲れません。

 春には嫌なことばかりだったけれど、多分その裏で楽しかったこともあったんだと思います。重いコートを脱ぎ捨てて遊びに出かけたことや、新しい友達ができたこと、新番組や新連載に胸を高鳴らせたこと、そういうものが埋もれてしまっているだけなのです。

 そんなことを思い出していました。

 

 楽しいことを見つけていきましょう。

 

 最後に一枚、お気に入りを封入しておきます。

 それではまた。

 

草々不一

 

 

追伸

桜の話をしておいて恐縮ですが、桜ではありません。