キリン電波書簡

一方通行の手紙です

四十六通目

 前略

 ゴールデンウィークに突入しましたね。私は暦通りの休みなので、後半に五連休があります。そちらはいかがでしょうか。お休み取れていますか。かえって慌ただしいこともあるかもしれませんが、どこかで羽を伸ばせるといいですね。

 

「休みの日って何してるの」「趣味って何」というのは話題がないときのフックとしてよく使われますが、私は個人のテリトリーに踏み込みすぎているなと思って迂闊には触れないようにしています。フワちゃんが芸能界のベテランにプライベートな質問をされたとき「あんたこの関係性で教えてあげるわけないじゃん」と返したのはすごく良い事だと思うんです。そうだよね、そう言いたい! と心から思いました。相手も悪意があって聞いているわけではないというか、関係性を一歩近づけたいからこその質問というのはわかるのでなかなか無碍にはできないのが苦しいところ。

 私はいくつかの階層に分けた回答を用意しています。

 まずは完全外向けの回答は「料理」です。嘘ではない割に一般受けが非常に高い趣味です。が、必ず得意料理は という質問に繋がってくるのが厄介。料理するの好きなんですけど何が得意とかは特にないんですよね。そして決して料理が「上手い」とは言っていないのです。とりあえずその辺は最近作った物にしてお茶を濁しています。

 残りは全部内向きかというとそうでもなく、やっぱりその中でも相手によって出し分けています。アニメが好きです、と言ってもアニメ自体がそもそも幅が広すぎますしね。「食べることが好き」な人が全員昆虫食に抵抗ないとは限らないというか。

 公表できるほどの域に達してない趣味も五万とあるので、迂闊なことは言えません。

 

 ただ、どれも嘘をついていないはずなのに、本当のことを言っていないような後味が残り続けています。何に対してもそう。本当のことなんて誰にも言っていないのかも。

 関係ない人に自分の心情を吐露したくなる瞬間があるか という趣旨の話をしたことがあるんですが、私はそういう気持ちがあまり理解できませんでした。「ただ聞いてもらいたいだけ」ならこうやって手紙にしたためる事ができますからね。(もちろん、そういうことで楽になる人の事は否定していません)

 

 本当はストレッチの担当トレーナーが私と合う話題を探り探りする中でアニメの話になり、先方から「推しの子面白いっすね」という話題を振られて共感できたのが嬉しかったというエピソードを語りたかったはずなのですが、いつの間にかこんなことになってしまいました。めちゃめちゃ面白いのでぜひご覧ください。

 

 それではまた、雨の季節が始まる頃にでも手紙を書きます。ご自愛ください。

 

 

 草々