キリン電波書簡

一方通行の手紙です

11通目

拝啓
初夏を思わす風が吹く季節となりましたがいかがお過ごしでしょうか。

先日蓮沼執太氏の個展に行ってきました。ミュージシャンの個展って一体……と思いながら行ってきたのですがなかなか素晴らしかったです。
メインともいえるのが楽器のパーツなどを散りばめたブースです。入ってすぐの大きなフロアにあるのですが「その上に乗って音を出す」という展示でした。金属のパーツとパーツが合わさる音が響き、他の誰かの音と合わさって音楽になるのです。
展示物に足を踏み入れるというのはなかなか抵抗がありましたが、一度入ればなかなか癖になります。
ひとつ面白いなと思ったはその人によって全く音が違うということです。足場が悪いので安全のために「そっと乗ってゆっくり歩いてください」と注意書きされており、その通りに歩くと繊細な音楽になります。怖いもの知らずの人がずんずん進んでいくと甲高い音が絶え間なく響き、音楽というよりは雑談という風に。
楽器もその人らしい音を奏でるものだと思いますが、ここまでバラバラになってもその人らしさが現れるというのは興味深いです。

話は変わりますが、蓮沼さんの音楽を聴いているとよく出てくる楽器の名前が思い出せません。あの天国のような音がする楽器は何といったでしょう。
こういう時代ですから検索すれば簡単に見つかると思うのですが、あまり無粋な事はやめましょう。
いつかふとした瞬間、運命的に知る事を待つことにします。そうしたら今度はきっと忘れられない思い出となるでしょうから。

それではどうぞ素敵な連休をお過ごしください。

草々

 

 

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