キリン電波書簡

一方通行の手紙です

花見

拝啓
陽気もずいぶんと春めいてまいりましたがいかがお過ごしでしょうか。
さて、少しだけお久しぶりのお手紙となります。あまり頻繁に届く手紙というのもある意味恐怖でしかないと気付きました。返事がないのに一方的に送られてくるとかどうなんでしょう。いえ、ただの言い訳なんですけれど。
先日、お花見をしてきました。ほぼ満開であまり人のいない所で催しましたのでのんびりとした会になりました。
一品持ち寄りということなので、張り切って手料理を持っていきました。最近作っておいしかったチリコンカンと、単純にその時食べたかったパプリカとアスパラとエリンギのマリネです。
それぞれさほど難しい料理ではないのですが、チリコンカンはなかなか味が決まらず難航しました。誰かの口に入るものですから主観的なおいしさではなく客観的なおいしさを求められるわけです。これはすごく難しい事ですよ。
濃すぎず薄すぎず、辛すぎず甘すぎず。何を足せばどうなるのか、だんだん分からなくなります。
パプリカをグリルで真っ黒になるまで焼き、皮をむくと甘くておいしいのはご存知ですか。知識としてはあっても一回くらいしかやったことがなく、ビビッてちょっと黒くなるくらいまでしかできませんでした。それでも甘くておいしかったです。
それなりに好評でしたが気を遣ってもらったのかもしれません。そんなことないよ、と言われてもそれ自体が気を遣っているかもしれなくて そう考えると非常に生きにくいのでありがたく頂戴しておくことにします。

それではまた桜の散るころに。

敬具