キリン電波書簡

一方通行の手紙です

三十九通目

 

 前略

 10月もあっという間に終わってしまいましたね。体調など崩されていないですか。

 

 10月といえばinktoberです。一日一枚お題に沿った絵を描いていくイベントです。本来はインクで描くものなのですが、私はデジタルで描いています。インスタとTwitterに上げてきましたのでご存じの方も多いと思いますが、ちょっとだけ振り返りを。

 今回はアイデア出しに無印のノートを一冊買いました。一発で決まったものもあれば複数案を出したものもあり、実際に描いてみたら全然ちがう物になったなど本当に色々です。

 

 以下は一言解説とアイデア出しのイラストです。

 実際の画像はこちらのモーメントで。

 アイデア出しの画像はなんか上手いこと貼り付けできなかったので、続きから見て頂いた上にご自身で付け合わせしてください。すみません。

 

01 GARGOYLE ガーゴイルって雨樋なんだ……と初めて知りました。リアルもデフォルメもなんか違うなーとなって人間に

02 SCURRY 一番反応が良かったです。みんな運送業好きなのね

03 BAT イメージはヴァンパイア+サラマンダー04 SCALLOP 貝の形のスカートにしたかったんだけど、そもそも服飾用語としてあった

05 FLAME フェニックス(右)

06 BOUQUET FORGETとの連作なので勿忘草を持たせてます

07 TRIP 旅行でも良かったのにね…

08 MATCH 吸ってはいけない

09 NEST 初期はもうちょっとビネットっぽかったですね

10 CRABBY 初期案は女の子でした

11 EAGLE 学生時代嫌いな先生が鷲鼻だったので、ちょっとかっこよくなりませんでしたね

12 FORGET 下絵はイマイチですが、完成品は一番好きです。でも勿忘草のサイズ感がわからないんだ

13 KIND 友人にアドバイスをいただきました。なのでノートには描いてません

14 EMPTY 足を描くのが苦手です

15 ARMADILLO まるまる

16 FOWL  これもなんか上手いこと思いつかず

17 SALTY 季節外れだけど青がいい

18 SCRAPE やわらかハートは傷つきやすい

19 PONYTAIL 制服連作。男性でも試してました。右下は海外のイラスト講座にある良い例悪い例

20 BLUFF うさんくさそうなオールバック

21 BAD DOG 一応正面の設定画もあったのじゃ

22 HEIST 袋持った人って言ったらこうなった

23 BOOGER 10秒で描けたのでは

24 FAIRY 普通の妖精と女性のような男性の2方向で考えていて、結局こうなった。左下は人工妖精

25 TEMPTING 辞書引いて最初に思いついたのがこれ

26 EGO AIの自殺。目の設定が好き

27 SNAC Swingin' Swingin'

28 CAMPING 色が気に入った

29 UH-OH 結局言葉のニュアンスがよくわからなかった

30 GEAR ほむらちゃんは描きませんでした

31 FARM 畑の肉だったんですが、なんか違うなーと思ってプラントになりました

 

 

 昨年はなかなかうまく描けず「来年はもう参加やめよう」と思っていたんですが、今年はお題によるのか、割とのびのびできました。昨年までとの大きな違いとして、今年はPCではなくタブレット、しかもChromebookを使って描きました。以前はおそらくメモリ不足でクラッシュしまくって実用性はないなと思ってました。しかし解像度をちょっと落としたら意外となんとかなりました。ウェブ用だしこれで十分。

 来年やるかどうかはわかりませんが、もし挑戦していたら優しく見守ってください。

 iPadでできたら楽しそうだなぁ。

 

 それではまた。

 

 草々

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三十八通目

 この手紙がどうか誰にも届きませんように。

 

 職場の先輩と駅まで一緒に帰りました。先輩は今日が最後の出勤日。
 いつも前向きで、新しいことに果敢に挑戦する人で、とても頼りにしていました。仕事のことでああでもないこうでもないと話すことが楽しかったし、いつまでも一緒では居られないとは思いつつも自分の方が先に辞めちゃうかも、なんて考えていたくらいで、その人の居ない職場がイメージできませんでした。

 なんか湿っぽいのも嫌だよね なんて話していたし、ちょっと落ち着いたらご飯に行こうなんて話もしていたのでいつも通りに挨拶をして別れました。

 それじゃあまた。ありがとうございました。今度LINEしますね。みたいな。

 

 握手くらいしたかったのですが、やっぱり柄じゃないなと思ってやめました。

 私はさよならがとても苦手です。思い出を振り返ったり感謝の気持を口にしたりなんて気恥ずかしい。
 死んでなきゃまた会えるし、そのうちお互いそれぞれのことで忙しくなって、いつかふとした拍子に「あぁ、あの人元気かな」と思うくらいでいいのです。

 とか言って。やっぱり本当は寂しくて仕方ないから、何か言ったら泣いてしまいそうだったから。いつも通りにしたかっただけ。

 

 お別ればかりが続いていますが、平気な振りをしているうちに平気になるのです。
 きっとね。

 

 それじゃあまた。ありがとうございました。またいつか。



三十七通目

前略

 あれよあれよと言う間に八月が終わりますね。苦しくてしんどい夏でしたが、過ぎ去ってしまうのは寂しい……いや、やっぱりただただ苦しくてしんどかったな。そちらはいかがでしたか。夏を満喫されましたか。

 

 先日、いつの間にかAmazon Musicがプライム(プライム会員向けサービス。追加料金不要)から有料プランのアンリミテッドになっていました。確か画面が反映しなくてなにかをタップした記憶はあるのですが、そんなワンクリック(ワンタップ? ワンタッチか?)で移行するって結構やべぇんじゃないですか?? 一応無料期間だったから料金発生するタイミングになってまた考えよう と思いそのままにしています。音質は上がったかなーというくらいですが、そもそもプライム会員向けの時点でさほど不自由を感じていないというか、聴きたい曲はある程度聴けていたという印象だったので、あまり「うわ〜〜曲数めっちゃ増えた!!!」という実感が無いのが辛いです。適当に流していても「実はこれ有料じゃなくても聞けたやつなのでは?」と考えてしまう貧乏根性のせいでコンテンツを素直に消費できません。

 音楽のサブスクリプション、あまりそそられないんですよね。私は所有欲が強い人間なので、たとえデジタルデータでもいいから「自分のもの」にしておきたいです。サブスクだとやはりいつ非公開にされてしまうかわかりませんし。

 あと一番大きいのは外出時にストリーミングで音楽を聞くというのを「なるべくパケット使わず低料金で暮らしたい」という、こちらも染み付いた貧乏根性が許さないんですよ。今もMP3プレーヤー(死語!)としてSIMフリー端末を使っていますし。(メイン機の電池消費を抑えたいというのもあります)

 あともう一つ、オタクなら同意してもらえると思うんですが「購入特典系の音源はサブスクにないだろ」っていうところなんですよね……。いや、将来的にはもしかして聴けるようになるかもしれないですが、やっぱり購入特典なのできっとCDとかでしか聴けないでしょうし。アニメとかも今やサントラすらBD/DVD特典だったりしますし。ゾンビランドサガ2期の挿入歌、いい加減アルバムでリリースしてくれよ……ぶっちゃけてフォーユーしたいよ……。

 閑話休題。自分が手持ちの音源と一緒にサブスクでも聴ける とかだと楽しめそうな気がします。Apple MusicとかYouTube Musicあたりができそうな雰囲気ですがどうなんでしょうね。ただ私iTunes苦手なんです。CDエンコードした時、フォルダの文字数制限があって、同じシリーズの別アルバム(○○シリーズ No.01とNo.02 みたいな)が一つのフォルダにごっそり入ってることに気付いた時は胃酸が喉をせり上がってきそうでした。iTunes上では別アルバムとして認識されてるんですけど、そうじゃない、そうじゃないのよ……。だから私は今でも午後のこ〜だをベースにエンコードしてるんですよ。午後のこ〜だって。令和だぞ。

 

 とはいえ、再生数がアーティストへお金で還元されるというメリットはすごく良いと思いますし、新しい音楽に出会いやすくなるというのもいいですね。やっぱり一方的に入ってくる機会というのも大事です。

 時代錯誤と折り合いをつけながら、現代のサービスを享受していきたいですね。おすすめの音楽サブスクサービスがあれば教えて下さい。

 

 それではまた夏の暑さが恋しくなった頃に。



草々不一

三十六通目

前略

 涼しい日が何日か続いたあとの暑さは堪えるものがありますね。体調など崩していないでしょうか。

 

 さて、私事ではありますが と書いておきながら、手紙なんて全部私事に決まってるだろうがという声が頭の中で騒いでいます。私事ではありますが、生まれてはじめて人間ドックに行ってきました。三十五歳なので。何か一区切りなんですかね、三十五歳。

 とにかく人間ドックでした。日帰りです。やはりメインイベントは胃カメラです。お陰様で胃カメラを飲むことのない人生を歩んできたので初体験ですよ。胃カメラといえば口から入れるか鼻から入れるかという、岩井俊二監督的な話題がありますよね。会社のお歴々がよく話題にしていました。やはり鼻からが楽〜というのが大多数。とはいえ申込みの際には何も言われなかったので口から入れるつもりでいました。喉の奥に物を突っ込むというのは我々のスキルですし、鼻からゆっくり息すればなんとかなるでしょうと軽く考えていました。

 正直採血も苦手なのですが、今回は胃カメラインパクトが強すぎてサクッと終了。ぐるぐると注文の多い料理店みたいに調理されて、まさかの大トリで胃カメラが来ました。私、水分を朝からほとんど摂ってないんですよこの真夏に。干からびるんじゃないか。

 クリニックに入ってから二時間くらい。急にかわいい男性看護師が現れて、鼻から入れるか口から入れるかが選べると説明が入ります。それぞれのメリット・デメリットをちゃんと説明してくれるのですが、これがもうほぼ誘導なんですよね。『鼻のほうがいいんですけどーでもまぁ人によっては口からのほうがいいっていう人もいてーでもやっぱり楽なのは鼻の方なんですけどどうしますー?』みたいな。いや、詐欺師かよと少し疑ってしまいました。何か裏があるんじゃないの。とはいえ前述の通り鼻のほうが楽だと聞いていたのでそのまま騙される事にします。

 かわいい看護師の次はかわいい先生でした。あんまりこういう事言うのセクハラジジイみたいなので最近は極力避けているのですが、僅かな癒やしとして大変ありがたい。

 一応未体験の方に向けて簡単に説明しておきますと、消泡剤→鼻にスプレー状の麻酔→胃カメラと同じ太さのゴムチューブに麻酔塗って鼻に通るか確認→実際に挿入という流れです。そうね、いきなりの挿入は良くないから慣らさないとね……。とか考えている余裕はありません。インフルエンザの検査とか鼻に物を挿入されるのはそこまで抵抗感なかったのですが、流石にあれは未体験の領域。麻酔が効いているとはいえやはり「何か異物が進んでいく」という感覚は分かります。喉に来ると二度ほどえずきました。食道に入る時は一度飲み込まないといけないのが面白いですね。「ごっくんしてください」と言われたのはちょっといやらしい……と当時はそんな余裕ありませんでした。喉の時は鼻からゆっくり呼吸すれば良いのですが、鼻の時は流石に苦しい。苦し紛れに口呼吸を試してみましたがこちらが意外と功を奏します。感覚はいびきをかいているときと同じでした。喉を鳴らすようにごーふーごーふー息をしているとかなり楽です。まぁこの調子ならなんとか、と思うやいなや胃に急激な違和感。「空気で膨らませますねー」って先に言ってくれ。まぁそうですよね、見やすくするにはそうしないといけませんよね。でも先に言ってくれ。

 どのくらいだったのかは分かりませんが、多分5分から10分くらいで終わりました。胃カメラというよりも麻酔のほうが結構しんどかった。唾液を飲み込む事もできず、口の周りがピリピリするし、麻酔か何かが人工甘味料の味がしてしばらく口の中がおかしかった。

 結果の方はひとまず問題なし。慢性胃炎の症状はあるけどまぁ来年覚えてたらピロリ菌の検査してみてもいいかもしれませんねーみたいなケロッとした説明でした。安心といえば安心だけど、なんか安心のためにここまでしんどい思いをしなきゃいけないのかと怒りにも似た感情が湧いてきます。いやそれは言い過ぎでした。

 とはいえこれでおしまい。麻酔が切れたらどこかでおしゃれランチでも♡ と思っていたのにまぁ麻酔の切れないこと。30分くらいで切れますからねーと説明があったのですが全然切れない。唾液は飲めるようになりましたが、変なところに入ってむせるのも怖い。

 そしてこれ社会の欠陥なんですけど、飲食を伴わない休憩スペースってほぼないんですよ。駅ビルの中にあるちょっとしたソファとかは落ち着かないし、せいぜいネットカフェかカラオケでしょうか。コワーキングスペースも気軽に入れるといいんですけどね。もっとちゃんと探したらあったんでしょうけど、

とりあえずもう疲れ果てていたのでちらっと買い物をし、とっとと地元駅へ帰りました。その頃にはだいぶ喉の違和感もなくなっていたので、おっかなびっくりアイスカフェラテをすすりました。(※胃腸への影響と水分補給という観点からは最悪の選択肢の一つでしょう)

 久々の水分。いたく感動する……はずでしたが、いつもどおりのカフェラテでした。

 こうして後々振り返ってみると「棒状のものがずるずる入っていくのってなんかエッチ」とか思えますが、当時はそんな余裕一切ありませんでした。この歳でもまだまだ初めてな事ばかりですね。

 次回以降も鼻でやろうと思いますが、バリウムだけは一生やるつもりはありません。

 

 みなさんの異物挿入体験についてもぜひ聞かせてくださいね。いや、やっぱり嫌だ。

 

 それではまた。

 

草々不一

三十五通目

前略

 荒波に揉まれ続ける毎日ですが、いかがお過ごしですか。ノーフューチャーでも生きていかなければなりません。あまり暗い話題ばかりを書いていくのはお互いの精神のためにあまり良くないですね。少しでも楽しい話題を提供できれば良いのですが、ない袖って振れないので。振り袖ならぬ振れぬ袖です。こういう寒いことを言い続けるのは暑苦しいので、これ以上触れるのはよしましょう。

 

 ご存知の方も多いと思いますが、私はおじさんが好きなので他人の老化には無頓着というか、むしろ歓迎するくらいです。自分が年をとることについてもさほど恐怖感はなく、むしろなんか今のほうがいいんじゃない くらいに思うようにしています。

 とはいえ実際顔の目立つところにシミができていたり、目が悪いから気付かなかったけれども目元にガッツリとした小じわができていると、まぁちょっとなんかケア的な物をしたほうが外見の健康寿命的なものが伸びるのでは と小賢しいことを考えてしまうのです。何だよ外見の健康寿命的なものって。

 あと保湿ですね。もう物理的に午後くらいになってくると顔のテカリが気になりだしまして。指摘されるわけではないので自分しか気にしてないのかもしれませんけど、自分が気になるならもうそれはなんとかするっきゃないのです。

 

 これは宣伝でも案件でもないんですけど、インスタグラム案件でよく見るクレンジングバームに手を出してみました。たまたま楽天の期間限定ポイントが余ってて、たまたまクーポンもあって、五百円くらいで買える状況でした。定価が確か三千円弱? 公式通販で定期ならもっとお得! みたいなのもありますけど、そこまでするのは面倒だし、でも気になるから五百円なら全く惜しくない と様々な言い訳を用意して購入しました。

 一週間使ってみた結果ですが、毛穴の黒ずみとかはまぁ正直わかりませんでしたが、しっとり感は確かにありました。テカリもあぶらとり紙2枚位必要だったのが1枚で済むかな くらいにまで落ち着きました。…………いやこれ、効果あるって言います? 効果アリと信じたい気持ちと、こんなん効果あるかーい みたいな気持ちとで揺らいでいます。

 他のことでもそうなんですけど、おおよそ世間で「これは効果がある」とされるものの多くに実感を得られないことが多い気がします。「こんなの効くわけない」という嫌な方のプラシーボ効果が働いている気がするんですよ。もう少し素直に生きられたら私のフューチャーも明るかったのかもしれませんね。たらればここに極まれりですが。タラレバ炒め定食。

 

 ただ、なんかお高い(普段三百円くらいの洗顔料使ってるので、当者比です)洗顔料を使っていると、その後のケアを念入りにしたくなるのはなかなか良い効果だと思います。目元のシワの話をしましたが、目の際のところなので、いつも適当に塗ってた化粧水やクリームが全く行き届いてなかったんですね。

 少しずつ自分のメンテナンスをしながら、自分のことを好きになって前向きになれたら明るく楽しいハッピーレターを送ることができることでしょう。来世に期待。

 

 休前日に午後の紅茶の微糖のミルクティーを飲んだテンションで長々と失礼しました。これでも翌日にチェックした結果なのですよ。

 くれぐれもお身体を大事になさってください。

 

 ターンオーバーが促され新しい表皮になったころお手紙を送ります。それでは。



草々不一

三十四通目

前略

 梅雨明けとは何だったのかという長雨からの晴れ間でした。洗濯物が一気に片付いて良かったです。止まない雨には悩ましいものですが。涼しい夜が続いていたのは快適でしたね。昼間の暑さは耐えられますが、夜の暑さはなかなか耐え難い。

 先日数年ぶりにお財布を買い替えました。今までは皮と帆布の長財布を使っていましたが、味が出るとかそういうレベルじゃなくシンプルに汚らしい見た目になってきたのでいい加減変えたいなと思ってはいたのです。けれどそのお財布は使い心地もデザインも好きだったのでなかなか手放せずにいました。同じブランドのお財布を買おうと思ったこともありますが、残念ながら潰れてたんですよね。悲しい。

 とはいえ昨今の急速なキャッシュレス決済の普及から、お財布というものの重要度はかなり薄れてはいたのです。だからこそちょっとコンパクトな財布に変えたほうが良いのでは? と思い至り、購入を決めました。

 デザインと機能性と手触り。デザインはネットでいくらでも探せますが、機能性や手触りというのはリアル店舗でないと分からないので困ったものです。なんかこう、脳をハッキングして家にいながら実物の感触を得られる、みたいな技術革新に期待しています。やっぱり頭に電極刺すのだろうか。

「えー頭に電極刺すのなんて普通だよ。最初はちょっと痛いけど、あとはもう全然平気だよー。やっぱ昭和平成世代は考えが古いよねー」みたいなことを言われる未来が見えましたよ。

 

 まぁ結構悩むんだろうな と思ってお店を覗いてみたら案外サクッと惹かれるものに出会えました。折りたたみでコイン収納部分が大きく開いて取り出しやすい。焼いたおあげみたいな色をしていて気に入っています。

 やっぱり触る機会はかなり少ないですが、触ったらちょっと嬉しくなるようなお財布でした。

 いつか完全にキャッシュレスになる未来が来るかもしれませんが、もうしばらくはこの財布を持ち歩こうと思います。頭に刺した電極で決済ができるようになるまで。

 

 それでは未来が来たらまたお手紙を送りますね。どうぞご自愛ください。 

 

草々不一

三十三通目

前略

 

 例年より早い梅雨入りで、暑い日と寒い日がはちゃめちゃですが、体調など崩されていないですか。私はばっちり崩壊しています。三十五だからでしょうか。

 

 さて、私は性格が新月の夜よりも暗いので、暗い物語が大好きです。明るく元気で楽しくハッピー! みたいな話も別に嫌いじゃないんですけど、どこかに闇があるといいですよね。

 そんな私が先日Twitterで「面白かったけど胸糞悪くて二度と見たくない映画」の紹介記事がありまして、これはもう見るっきゃないですよね。基本Amazonプライムビデオで見られるものの、今はプライム会員特典(見放題)ではないものも多かったので全ては見られていませんが、ほぼほぼ私の需要を満たしてくれていました。

 

 物語に感情移入するわけではないのですが、たとえば明るくハッピー幸せサイコー! というものを見ると、見ている間はいいのですが見終わった時ふと冷静になった時自分の薄暗い人生との落差に軽く絶望してしまうんですよね。それがホラーとか暗い内容だとその落差が低いどころかこれよりはマシ ということになるのかもしれません。

 楽しいお話が好きな人はきっと楽しい人生を送っているんでしょうね。

 

 とはいえ、自分でもなんで誕生日の夜に暗い話を観たのかは非常に疑問です。

 

 ちなみに観たのは「さがす」です。懸賞金のかかった殺人犯を見かけた と言って疾走した父親を娘が追ううちに、その殺人犯と出会ってしまうお話です。「ここで終わっときゃいいのに」を更に超えるのが鬱映画ですよね。本当に面白いので、ぜひ御覧ください。一度だけ。

 

草々不一