キリン電波書簡

一方通行の手紙です

十六通目

前略

私の事などお忘れでしょうがお元気でしたか? お忘れでしょうって自分がほとんど忘れていたのですから他の人が忘れていたって何の落ち度もありません。便りがないのは元気な証だか、頼りがなくて嫌忌の兆しだか分からないですね。言ってみたかっただけで深い意味はありません。そういうものでしょう?

さて、手紙の事など忘れていたし元気でもなかった私ですが、インフルエンザから復帰いたしました。と言ってもまだ監禁が続く状態です。
今日はインフルエンザの事を伝えたかったわけではなくて、手紙を書きたいな と思ったことそのものの方に注視していただきたいのです。
もし気が向けば前回の手紙をご覧ください。はい、絶賛体調不良でした。どうも絶賛体調不良から回復すると何かを残そうとしたくなるようです。これはやはり本能的な動きなのでしょうか。種の保存というか。いつどうなる分からないから自分の遺伝子を残しておきたい というような。
その先に全くつながらないものを種の保存と呼ぶなんておこがましいにも程があるかもしれません。こんな行為は全くの無為でしかありません。けれど本当の種の保存という本能だって、我々の脳は本当に子孫を残せたかどうかなんて分かりはしないでしょう。ただ射精をするという指令を出しただけで、その先の事は分からない。
ダイイングメッセージを残しても犯人に消されちゃう という事とも似ています。それでもやっぱり残したくなるところとか。残してみたいですよね、ダイイングメッセージ。字が汚いから誰にも伝わらないんですけど。

結局のところ自己満足でしかないのです。

そういう無駄を愛して生きられる度量を持った人間になりたいですね。無理矢理まとめてみましたがまとまっていますか? これ。

それではみなさま今年もよろしくお願いいたします。

 

 草々